When.exe Ruby版の目的は、古今東西あらゆる文化および言語で用いられた暦日・暦法・時法・暦年代・暦注などにユニークな名前付けを行い、統一的に扱うための枠組みを提供することです。
このためにISO19108の時間スキーマを用いてクラスおよびインスタンスを定義して、ISO8601の拡張とIRIによりユニークな名前付けを行いました。
ISO19108の時間スキーマは下図に示す構造をしています。
図の左側は時間位置を表し TemporalPosition の語彙で表現します( http://hosi.org/tp.rdf )。
図の右側は時間参照系を表し TemporalReferenceSystem の語彙で表現します( http://hosi.org/When.rdf )。
When.exe Ruby版はこれらの語彙で表現されるオブジェクトの操作を支援するツールとして使えるようにしています。
下記の階層図で色つきの部分が、開発(gcalapi以外)あるいは改造(gcalapi)した部分です。
※ http://www.rubydoc.info/gems/when_exe/ の表紙の Example Usage にも同じ例が載っています。
※ https://github.com/suchowan/when_exe/blob/master/test/test/linkeddata.rb にも例が載っています。
現在公開している日本暦注検索用データセットは、When.exe Ruby版のTemporalPositionデータセットの一部で、西暦593年~2061年の期間の日本暦日と具注暦暦注のデータです。トリプル数にして約886万ほど。大部分はWhen.exe Ruby版ライブラリで計算で生成していますが、建仁2年冬至など史実で変更が確認できるものは変更を反映しています。
などの研究に使用できるのではないでしょうか。 現状は素朴な実装例ですが、博物館などのディスプレイと連動するなどしてチューナップしていくことが考えられます。
利用するためのアドレス情報は下記にあります。
スキーマは OWL 等の記述はありませんが、下記の CalendarNote シートを参考にしてください。
DBpediaとのつながりについてはブログ記事2015-10-15をご覧ください。
日本暦注検索用データセット用のTTLファイルは <bin>フォルダにあるmake_ttl.rb.configを参照して、make_ttl.rbで生成することができます。
GitHubに公開しているこの make_ttl.rb.config は明治改暦以前の部分を生成する設定です。明治改暦以後の部分を生成するには、
{"begin" : "1873^^Gregorian?note=Japanese", "end" : "2050^^Gregorian?note=Japanese", <..snip..>
のように変更します。begin と end に他の暦法による日付を指定すれば、その暦法用のデータセットを生成できます。しかし、"?"以降の指定には無限のバリエーションがあり得ますから、SPARQL で検索できるように事前に準備しておくのは難しいのではないかと思います。
前項の「日本暦注検索用データセット」は、When.exe Ruby版をベースとして外部に提供するデータセットでした。
「イベント機能」は逆に外部から提供されるデータセットをWhen.exe Ruby版で利用するために開発した機能です。
時間情報(と空間情報)を含んだ(オープンな)データセットをWhen.exe Ruby版で扱うための仕組みを提供します。
「イベント機能」は独立したまとまりをなしていますので詳細はEvent以下をご覧ください。
本機能を含めた全体の著作権表示は[Calendar/When/Ruby#著作権表示]をご覧ください。
なお、When.exe Ruby版の「イベント機能」を担当するWebサーバー(http://hosi.org および http://hosi-org.herokuapp.com/)は国土交通省提供の「大字・町丁目レベル位置参照情報」ファイル(01_2014.csv<北海道>~47_2014.csv<沖縄>)を利用しています。
今回イベント機能に付属して提供した「日本の祝祭日データセット」は、Wikipedia と DBpedia のみを外部リンクとして持つデータセットで、When.exe Standard Representationの反復表現による定期的行事の記述例となっています。
提供形式は下記の2形式です。トリプル数は693、DBpedia への延べリンク数は154、異なりリンク数は64です。
現在は法律により規定された祝祭日のみを記述していますが、より一般的に日本各地の祭りなど年中行事を記述するデータセットに発展していってほしいと考えています。
このデータセットもCC-BY license での提供とします。