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マヤ暦

長期計算法

マヤ文明で使用されていた暦です。

ここではグレゴリオ暦の3114BC8月11日を起点(第0日)とする[56]-[61]説による 変換を行っています。

[ 変換 ]

       キン    (kin)  =  1 日
       ウィナル  (uinal) = 20 キン
       トゥン   (tun)  = 18 ウィナル
       カトゥン  (katun) = 20 トゥン
       バクトゥン(baktun) = 20 カトゥン

のように数えます(以後20進法で pictun, calabtun, kinchiltun, alautun と 位が進む[13]そうですが、碑文にはあまり出てこないのでしょう)。

暦元

起点の日付には、ここで採用しているグッドマン・マルティネス・トムプソン法(GMT) [59]と、これに2日足した日付を用いる法(GMT+2)[241]が有力です。

オンライン版ではGMTでの変換しか行いません。

GMT+2 で変換するには、オフライン版では whenhv.rsc の変数

 mepoch:	 584283, 2456283, 584283,  +3, +19, -1, -17, 0

の「83」を「85」に変えます。

直接論文[60],[61]に当たっていないので一部推定を含みますが、 GMTは以下の手順で決定されたのではないでしょうか。

1) 照合の起点

スペイン人がやってきたとき、すでに長期計算法は失われており、バクトゥン 以上の単位の値は不明でした。照合に使われたのは、13 Ahau のカトゥン(カトゥ ンは、その最終日の260日暦であらわす)が 1539年11月2日に終わった(1.bat#21参照)という情報です。13 Ahau のカトゥンの終わりは 260トゥン(約256年)ごと に訪れますから、起点の日付は互いに 260トゥン隔たった一連の日付の何れかで あるはずです。

2)年代測定

放射性同位元素C14(たぶん)によって、マヤ長期計算法の記録された碑文と 同時代であることがはっきりしている試料の年代測定を行います。この種の測定 に誤差は付きものですが、それでも1)で求めた一連の日付の中から3~4個の候補 に絞りこむことが出来ます。

3)月齢による選択

古典時代の碑文にはマヤ長期計算法とともに月齢も記されています。2)で残った候補 のうち3114BC8月11日のみが月齢の条件を満たします。

ただし、文献[241]によれば、メキシコ高原のチアパスに位置するポコ・ ウィニック遺跡のモニュメントで日付9.17.19.13.16が日食を 表す語と結び付けられており、この日食が実際には790年7月16日 に起こったものと考えられ、GMT+2 の方がよくあうとのこと。ただし、これが地方的 なものかどうかは不明です。文献[242]も両説に言及しています。

260日暦と365日暦

マヤの暦には長期計算法以外にも260日暦(ツォルキン)や365日暦(ハアブ)などが一種 の暦注として記されていました。

アステカの暦

スペイン人がやってきた16世紀初頭のアステカ暦は、これらの暦注を継承した システムです[62]

  +aztec と指定して得られるアステカ暦は、トラテロルカ族の暦法とされ、
  1)260日暦(Tonalpohualli)
    マヤ暦の260日暦と同期しているものとしています&cite(62)が、マヤより半日
    早く前日の正午に始まります(実際には開始時刻が正午かどうかは定説がない
    らしい)。
  2)365日暦(Xihuitl)
    マヤ暦とは同期していません。日付は1~20と表記するのが正しいようですが、
    プログラムの都合上 0~19と表示しています。
  のように設定しています。

  +aztec$ と指定して得られるアステカ暦は、テノチカ族の暦法とされ、前者
  に較べ、260日暦・365日暦とも20日遅れている暦法です(365日暦は月名は
  +aztec と一致しますが、年初が1か月ずれ、不足の5日(Nemontemi)も1か月
  後ろに入ります)。
  AD1319~1351の間に改暦があり、それ以前は逆に +aztec より20日進んだ暦
  法であったという説もあります。